「起業するぞっ！」と思い立った日から実際に起業するまでの間に、準備すべきことがいくつもあります。事前にどれくらい検討し、準備したかが起業後の経営を左右します。起業に際しては次のポイントで考えてみることをおすすめします。

（１）　起業動機が明確であるか

どういう目的で、何をやりたいかを明確にする必要があります。動機があいまいでは、様々な困難を乗り越えていくことはできません。 また、起業しようとする事業内容が世の中のニーズや時代の流れに合っているかどうかも重要なポイントです。

（２）　起業する事業について経験や知識があるか

起業しようとする事業は、まず経験のある業種や知識、興味のあるところ及びその周辺というのが一般的でしょう。 技術・技能・ノウハウなどの修得には経験が何よりも重要です。また、受注先を確保できるかどうかは、勤務時代に培った人脈、信用が大きく左右します。 未経験の分野での成功はなかなか難しいので、フランチャイズに加盟するなど経験不足を補う対策が必要です。

（３）　事業を継続していく自信があるか

経営者は法律、経理、税務、労務など幅広い知識も必要ですが、それ以前に強い意志、努力、体力が不可欠です。加えて、十分な金銭感覚も必要です。自分のお小遣いを扱う感覚でいてはいけません。

（４）　家族の理解はあるか

あなたにとって家族は一番の理解者のはずです。その家族の理解が得られないようでは、事業に対する意欲を疑われてもしかたがありません。 信頼できる協力者としての家族は、困難を乗り越えていくときの支えになってくれます。事業は自分一人でできるものではなく、大勢の支えがあってはじめて成り立つんだということを忘れなければあなたの事業はきっと成功するでしょう。

（５）　起業場所は決まっているか

業種によってはどこで起業するかが重要になります。一般的に立地条件の良い場所は固定費が高くなるので、採算が合うかどうかを慎重に検討しましょう。 また、所有物件の活用や立地条件にマッチした商品やサービスの提供についても検討してみましょう。

（６）　必要な従業員は確保できるか

必要とする人物像を明確にし、早めにあたりをつけます。優秀な人材を採用するには、何らかの魅力づくりが必要です。事業が軌道に乗るまで、人件費は重い負担になります。家族労働、人材派遣会社、パート、アルバイトの活用も検討してみましょう。

（７）　セールスポイントはあるか

商品、サービス、技術またはそれらの提供方法などに、お客様を引きつける特色があるか検討してみましょう。新規事業を早く軌道に乗せようとすれば、同業他社にはない独自性や新規性が求められます。

（８）　売上や利益を予測してみたか

これまで事業をしたことがない方は、売上は多めに、支出は少なめにといった甘い見通しをしがちです。同業他社の実績など、裏付けのある数字に基づいて検討してみましょう。

（９）　自己資金は準備しているか

事業を早く軌道に乗せるには、借入金は少ないに越したことはありません。借入金の返済負担は、事業の採算性や健全性を損ねることがあります。 起業を思い立ったら、まず着実に自己資金を蓄えることから始めるのが賢明です。また、創業資金の借入れを考えている方は、保証人や担保などが必要な場合がありますので、事前に検討しておくことをおすすめします（日本政策金融公庫には無担保無保証人の融資もあります）。

（１０）　事業計画書を作ってみたか

自身の描く事業のイメージを具体的に文字や数字で確かめてみましょう。事業計画書は借入れの際の説明資料として使うことが多いですが、借入れをしない場合でも自分のやりたいことやそれが実現可能なのかを明らかにすることにも役立ちます。