会社設立のデメリット
会社の設立にメリットがある一方でデメリットもあります。
1.社会保険への加入が義務となる
法人化すると、健康保険と厚生年金保険への加入が義務づけられます。その際の保険料が国民健康保険と国民年金に比べて高額になるのです。金額は給与額に応じて決まりますが、ほぼ給与額に比例しているといえます。保険料は会社と本人が折半する形になり、会社の負担としては、従業員が増えれば増える程大きくなっていきます。なお、社会保険は社長が1人しかいない会社でも加入しなければなりません。
2.赤字でも納めなければならない税金がある
法人化すると、毎年税務申告を行う際に、たとえ赤字であっても支払わなければならない税金があります。それは法人住民税の均等割です。住民税は個人事業が赤字の場合には原則0円ですが、法人にはこのメリットがありません。自治体によって金額が異なりますが、毎年7万円以上はかかると思っておいてください。
・法人都道府県民税均等割 20,000円
・法人市町村民税均等割 50,000円
3.交際費が全額経費にならない
従来中小企業(資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人)における交際費の取り扱いは、年間600万円を上限としてまではその90%を経費として認められてきました。そのため、個人事業では全額経費として認められる交際費は、法人化するデメリットと言われてきました。
しかし、税制改正によって、平成25年4月1日以後に開始する事業年度から、経費にできる割合が90%から100%になり、年間600万円の限度額も800万円に増額されました。
そのため、現在では交際費が多額にならない会社にとってはデメリットと言えない状況になっています。
4.役員報酬の決め方に制限がある
個人事業では事業主の給料という考え方はなく、生活費など好きなときに好きな額を使うことができました(もちろん経費にならない部分もあります)。しかし、会社になるとたとえ事業主でも好きなときに好きな額を使うことはできなくなります。
会社では事業主の給料を「役員報酬」といいます。この役員報酬は月によってその金額を変えることができません。具体的にいえば、1月は20万円、2月は30万円とすることができないということです。つまり、1年間毎月同じ額の役員報酬を支払うことになります。
この理由は、役員報酬について自由な変更・支払いを認めてしまうと、それによる経費の増額で利益額を縮小させる操作が可能になってしまうからです。利益が出た場合は役員報酬を増額して法人税の対象となる利益を圧縮したり、赤字の場合に役員報酬を減らして役員個人の所得税を減らす操作を防ぐ狙いがあります。
この役員報酬は年に1回だけ変更するチャンスがあります。業績予想が良ければ上げる、業績予想が悪ければ下げることができるのは、直前の決算日の翌日から3か月以内の期間だけです。一般的に役員報酬の額を決めるのは株主総会です。役員報酬の額を変更した場合は、株主総会議事録を作成に役員報酬に関する決定事項を記載しなければなりません。
ただ、役員報酬を決まった額以上に支払ってはいけないというわけではありません。決まった額を超えて支払った部分は経費として認めませんということです。
なお、役員には毎月の役員報酬とは別に賞与を支給することが可能です。ただし、上の利益操作を防ぐため、賞与は全額経費にならないということを知っておいてください。
5.事務手続きの負担が増える
法人化することで事務負担は明らかに増加します。会計処理は会社法に則った形で処理を行う必要がありますし、申告書も所得税の確定申告とは異なり複雑になります。
それ以外にも具体的には以下のような負担増が出てきます。
・会計処理及び法人税申告
・社会保険や労働保険の手続
・会社組織に関する手続(取締役、本店所在地、事業目的の変更など)
6.廃業するときにも手間とお金がかかる
事業の廃止を会社設立前に考えることはあまりないと思いますが、法人は事業の廃止にも費用がかかります。
特に税金の滞納や借金が無い場合は清算の手続きをしますが、下記の登記費用は最低でもかかってきます。
- 解散登記30,000円
- 清算人の就任登記9,000円
- 清算結了登記2,000円
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